池井戸潤・最新作『陸王』は最後のレースまで目が離せない素晴らしい作品

池井戸潤・最新作『陸王』は最後のレースまで目が離せない素晴らしい作品

最近あまり読書をする機会がなく、残念に思っていましたが、友人からの情報で半沢直樹シリーズや下町ロケットなどでお馴染みの池井戸潤の最新作『陸王』が2016年7月に発売になったことを聞きました。

私はあまりドラマも見ないので半沢直樹のシリーズも最初は興味がなかったのですが、一度見て、見入ってしまい、本も購入して読むようになりました。

今回の最新作でもある『陸王』も新しいことを取り組むための挑戦やライバルなどがいい具合に表現されており、とても楽しい内容になっていました。

100年続く老舗足袋業者がランニングシューズを作る…夢と現実を見せられる壮絶なストーリー

私は三年ほど前からランニングを始めました。

ランニングは走れば走るほど自分の体に返ってくるスポーツだと思っていますが、ゴルフなどと異なりスポーツ用品であまり差がでないのも事実です。

そんな中、唯一ランニングシューズというのは選手の武器になる存在です。

今回の作品『陸王』はシューズの内容や細かい部分をランニング経験者からもより納得できるように書かれており、とても素晴らしいと思います。

足袋業者が年々少なくなり、100年続く老舗でも徐々に収入が減っている…そういった現実に新しい事業開発をして復活を図るストーリーになっておりますが、ランニングがブームの近年では、同業他社となる会社(本作品ではアトランティス)も多く、実績もあるので、なかなか序盤は本を読んでいてもこちらも苦しくなるような展開が多いです。w

ですが、ソールの素材探しや、選手からの要望などを聞きながら実際に足袋業者が独自の足袋のノウハウと合わせてシューズを作っていく内容にはランニングをしている方はもちろん、何か新しいことを始めたい方、実際に制作をしている方などには突き刺さるストーリーになっていると感じました。

陸王-ランニングシューズ

Photo:Running Shoes by Josiah Mackenzie

相変わらずライバルになる会社は嫌なやつら

下町ロケットというドラマ・本を見たことがある方ならわかるかと思いますが、池井戸潤さんの内容の中にはライバル会社や大手などが登場します。

今回もランニングシューズ大手のメーカー『アトランティス』という会社が登場しますが…まぁとにかく嫌なやつが多いです。w

しかし、アトランティスの中には陸上業界で尊敬すらされているシューフィッター(シューズの知識を持った専門家)が属しており、このシューフィッターの村野がキーポイントのキャラクターです。

アトランティスは選手ひとりひとりにシューズを合わせるのではなく、経営陣が「このシューズを売れ!」となったらそのシューズをスポンサーとして契約する選手に何としても履かせるスタイル…大手ではよくある話だと思いますが、このシューフィッターの村野がそんなアトランティスに疑問をもって仕事をしているのも注目です。

大手-アトランティス

Photo:Chicago building by jphilipg

ランニングシューズを作るキッカケは社長自らの外回り

足袋業者の老舗『こはぜ屋』がメインの会社になりますが、営業は主人公でもあるこはぜ屋の社長「宮沢紘一」が行っており、足袋は徐々に百貨店からも姿を消しているのが現実で、実際「事業的に縮小」などのこはぜ屋からしてみれば会社の生命線を徐々に削られる展開になっています。

そんな時に百貨店のシューズコーナーで見た、変わったシューズ…。

そこから「足袋からシューズは作れないか…」と考える社長のアイデアから最初は極々小さな発想でしたが、そこからこの陸王は誕生していくストーリーにもとても読者として惹かれるものがありました。

陸上界で頭角を現してきた茂木裕人を襲った怪我…スポンサーとの悲劇的な駆け引きもリアルで切ない

先程もお伝えした通り、長距離の武器はやはりランニングシューズになってきます。

そんな長距離ランナーであるダイワ食品陸上部員の茂木裕人は長距離で頭角を現し、ライバルであるアジア工業陸上部員の毛塚直之とデットヒートをする選手でした。

がしかし、試合中にまさかの怪我をしてしまい、一気に茂木裕人は陸上界から姿を消してしまったのです。

茂木裕人にスポンサーとしてついていたのはアトランティス…この怪我をしてからのアトランティスの対応と茂木の苦悩が描かれているシーンは本当に胸が苦しくなる展開です。

シューフィッターの村野も茂木のことを心配し、様々なシューズを履かせようとしますが…アトランティスの営業部長小原とのやり取りで展開が急転する内容も必見ですね。

そしてこはぜ屋と茂木裕人の関係も徐々に近づいていくので注目です。

ひログまとめ

この本は「いいシューズを作る」という内容ではあるのですが、それだけではなく、「いいシューズを作るためにはどれだけの協力が必要なのか」という点と「実際に履いた選手はどう感じ、どう成長していくのか」を非常にうまく合わせた展開のストーリーだと思います。

実際に私はランニングをしているので、見る前からワクワクしていましたが、実際ランニングをしていない人でも「モノづくりの難しさ」や「大手のやり方のリアルさ」などが伝わってくる内容になっているため、悔しい気持ちになったり切ない気持ちになったりはします。

ですが、池井戸潤さんの内容は最後には半沢直樹のような「あーすっきり!」という展開がになるので、558ページと長い内容になりますが、最後まで目が離せない内容になっています。

そして私は読書はなかなかやめられなくなってしまうタイプなので、陸王も2日で読み終わってしまいました。w

今の仕事にモヤモヤしていたり、新しいことを始めたい方、ランニングを実際に愛している方などにはうってつけの内容になっていると思うので、読んでみてはいかがでしょうか?

今回の作品

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